6月10日から14日、北海道に行ってきた。今回の撮影目的は、前田一歩園・光の森、野付半島のトドワラと国後島の遠望、日本の世界自然遺産のなかで行けていない知床半島、そしてこの時期硫黄山に咲くエゾイソツツジである。
10日朝、新千歳空港から6年前の6月以来のオンネトーを目指す。

まず立ち寄ったのは、道東自動車道の占冠パーキングエリア。6年前初めて立ち寄った時に食べた屋台のザンギ、忘れられない味。
この時、今回の旅行の気温の最高値30℃(車のダッシュボードの車外温度)。過ごしやすい6月の北海道のはずが、想定外の暑さ。
6年前にオンネトーを訪れる途中で撮影した場所を記憶を頼りに再訪した。




オンネトーはこの時期、新緑が美しい。手前は咲き終わった水芭蕉の葉っぱだが、北海道は積雪の時間が長いため、葉を大きくして短い期間に光合成で地下茎に栄養を蓄積すると阿寒自然ガイドの川村さんに教えていただいた。

11日午前中は、阿寒湖周辺の自然を大切に保護されてきた前田一歩園財団の私有林「光の森」のトレッキング。森には、推定樹齢約800年のカツラの巨木などがある原生林と、高温の熱泥や熱水が噴き出すボッケと呼ばれる泥火山がある。泥火山の周辺の高温の窪地の枯れた木と周りの新緑の対比がとても印象的なトレッキングが楽しめた。
光の森は認定ガイド同行時のみ入林が許される森なので、自然ガイドの川村純一さんに案内していただいた。川村さんは、ホームページにフォトギャラリーとして美しい道東の自然の写真をアップされるなど、写真についても見識をお持ちなので、今回初めてガイドをお願いした。撮影スポットなども教えていただきながらの楽しいトレッキングだった。いろいろありがとうございました。
阿寒自然ガイド・川村純一さんのホームページ → https://akanforest.com

鹿の角は春になると抜けて生え変わるという。森の中に立派な鹿の角が落ちていた。


光の森の象徴的なカツラの巨木。周りの木と比べて、圧倒的な存在感。


これらの木の存在感も負けてはいない。


古木の幹の表情も見ていて飽きない。

新緑の森の中の高温の窪地に枯れて倒れた木の幹から新芽が育っている。生への執念が伝わってくる。

高温の窪地の中で花を咲かせるエゾイソツツジも驚異的な生命力だ。

熱水が噴き出すボッケも点在している。
午後から野付半島に行くつもりだったが、天候が悪くなる予報だったので、ガイドの川村さんに摩周湖近辺の撮影スポットを尋ねると、この時期サクラマスの遡上を見ることができる「さくらの滝」と「神の子池」、「裏摩周」を回るというコースを勧めていただいた。

渓流の女王といわれるヤマメが川を下って、海で2~3年過ごした後、6月から8月に産卵のために生まれた川に戻ってくるとサクラマスと呼ばれる。この時期の体長は50cm程度になっているとのこと。
さくらの滝は高さが3mほどあり、命を懸けて遡上するサクラマスの姿は豪快で感動的、いや、初めて見るものにとって衝撃的である。上流を目指して次々とジャンプしてくるが、滝を越えていくのは1割程度だという。
白い花が咲いたさくらの滝を遡上するサクラマスの姿を撮影するには、残念ながら私の撮影テクニックが及ばない。

神の子池は摩周湖からの伏流水が湧き出ているので、青い水が澄んでいて底までくっきりと見える。このあと、裏摩周を訪れたが、厚い霧に覆われて湖面すら見ることができなかった。
12日は曇り。知床半島の西側は雨の予報なので、知床五湖を回るトレッキングは諦めて、午前中に野付半島トドワラ周辺を撮影し、午後から羅臼、知床峠を通り、雨が収まる午後に知床一湖までの木道を散策することにした。

野付半島から国後島を望む。偶然かもめが写ったが、シャッタースピードが遅かった。残念。

野付半島の鮭の定置網漁は毎年8月26日が解禁日。潮の流れが非常に速い海域だそうで、この日は漁に向けた準備のため、強度のある大きな定置網をクレーン車で引き上げて、高圧洗浄作業を行なっていた。漁師さんのご苦労に、改めて頭がさがる。

立ち枯れたトドマツが海水と潮風によって立ち枯れた「トドワラ」。枯木の本数が思っていたより少なくなっていて、いずれこの荒涼とした風景も見られなくなってしまうのだろう。

トドワラの木道は、満潮になると木道だけが浮かび上がる幻想的な風景となり、多くのカメラマンが撮りにくるとトラクターバスの方に教えてもらった。

新緑の木々の手前に風化したミズナラが立ち枯れたまま残る「ナラワラ」。幻想的な光景の手前に黄色い花を咲かせるセンダイハギとわずかばかりの草を喰むエゾシカの群れ。


羅臼から知床峠に向かう車の中から。
途中、羅臼岳を綺麗に望むことができ期待が膨らんだが、知床峠に着いたときは濃霧のなかで、北方領土はもちろん羅臼岳すらまったく見えない。車外温度は5℃(今回の旅行の気温の最低値)。

雨が上がり、薄く霧がかかった知床一湖。雪の残る知床の山々を背景に知床五湖を撮影して回りたいという思いが強くなる。
13日の早朝、川湯温泉近くの硫黄山(アトサヌプリ)周辺に咲くエゾイソツツジの大群落の撮影に向かう。この日の日の出は3時37分。関西の日の出より1時間ほど早い。日の出に間に合うように3時前に宿を出る。
硫黄山は川湯温泉の源泉であるが、明治の時代から昭和30年代にかけて、マッチや火薬の材料として硫黄を採掘する鉱山だったそうである。

硫黄山の噴気煙とガスによって枯れた木の前で満開のエゾイソツツジ。

前日の雨の影響か、弟子屈町川湯周辺が雲海に包まれた。

朝日に輝くエゾイソツツジ。


硫黄山は、日本で最も近くから噴気孔の観賞ができる活火山で、噴気音を立てながら高くまで噴気煙をあげている。
この日は札幌まで移動する予定だが、せっかく道東に来たので網走刑務所やサロマ湖経由で向かうことにした。見学や休憩を除き、6時間半近く運転することになったが、こんなに長く運転するのは人生最後かもしれないと思う。

最近、漫画や映画などで人気のゴールデンカムイにも登場する網走刑務所、現在は移築され博物館網走監獄となっている。いくつかの建物は重要文化財になっており、蝦夷地開拓の先鋒であった囚人たちの過酷な労働の歴史など刑務所の歴史なども知ることができ、有意義な時間を過ごせた。
サロマ湖を通り過ぎ、雄大な十勝の山々を見ながら、無事札幌に到着した。札幌では、いろいろお世話になっているITベンチャーを訪れ、幹部の方と会食した。道庁赤れんが庁舎の正面で、この日リニューアルオープンした “ LA BRIQUE” でフランス料理をご馳走になった。いろいろお気遣いありがとうございました。ごちそうさまでした。